旧田中德兵衞邸 特別公開へ

旧田中德兵衞邸
特別公開される旧田中德兵衞邸

川口市が約7億円で取得した国道122号線沿いの大正期の洋風住宅「旧田中德兵衞邸」が特別公開されることになった。10月11日(火)~21日(金)までハガキで特別公開の申し込みを受け付ける。公開日は、2005年10月29日(土)・30日(日) 11月13日(日)・27日(日)となっている。田中家は明治4年、西暦1871年より田中德兵衞商店を創業し、その後、地場産業の味噌醸造業を始め、事業を拡大した。旧田中德兵衞邸の建物は、16世紀イギリスの建築様式であるチューダー・ゴシック様式を踏襲した大正12年(1923)竣工の木骨煉瓦造3階建ての洋館と昭和10年(1935)に増築された木造一部2階建ての和館を中心に、文庫蔵、池を配する本格的な回遊式日本庭園である池泉回遊式庭園の一部を構成する木造平屋建ての茶室の4棟から構成され、敷地面積は2,444平方メートルの邸宅となっている。

旧田中德兵衞邸の特別公開

所在地 川口市末広1丁目7-2
特別公開日 2005年10月29日・30日、11月13日・27日(午前の部 10時~11時30分と午後の部 13時30分~15時があります。)※雨天決行
参加費 無料
申し込み方法 往復はがきに、希望日時(第3希望まで)、代表者 の氏名、住所、電話番号、参加人数を記入して、川口市青木2-1-1「川口市教育委員会社会教育課
文化財保護係」まで。後日参加受付票を送付される。
申込受付期間 2005年10月11日(火)~21日(金)必着
問い合せ 川口市役所 社会教育課文化財保護係
旧田中邸の迎賓を目的とした大広間
旧田中邸の迎賓を目的とした大広間

(2006.1.23追加)国の文化審議会は、2006年1月20日(金)の審議会で、 登録有形文化財(建造物)として、川口市にある大正期の本格的洋風住宅の「旧田中家住宅洋館」「和館」「文庫蔵」「表門・煉瓦塀」と、春日部市の「新井家住宅主屋」の建造物5件を登録するよう文部科学大臣に答申することを発表した。

旧田中家住宅洋館

構造 煉瓦造3階建、瓦葺、建築面積186m2
年代 大正10年(1921年)
概要 国道122号沿いに建つ。建物は煉瓦造3階建で、北側に蔵、南に台所棟が配され、正面の玄関には帳場があり商
家の面影を残している。外壁は、化粧煉瓦を用い、煉瓦の小口面と長手面とが交互に現 れるように積む「イギリス積み」が施されている。外観は最上階に尖塔アーチを垂直に圧縮したチューダーアーチや窓枠の飾りなどにその特徴を見ることができ、16世紀イギ
リスの建築様式であるチューダーゴシック様式を踏襲している。現存する洋館建築としては県下有数であり、当時の素封家の繁栄ぶりを象徴する。設計は、重要文化財となっている日本郵船小樽支店などの設計者である近代建築家佐立七次郎の門下生である桜井忍夫があたった。また、棟札に書かれた名前から市内の職人達がこの建築に関わっていた。

旧田中家住宅和館

構造 木造平屋一部2階建、瓦葺、建築面積170m2
年代 昭和9年(1934年)
概要 和館は、洋館に接続した建物で、数寄屋造となっている。1階には10畳の仏間、12畳半の次の間、15畳の座敷を配し、南・東・北に廊下を廻している。
また、洋館と接する2階部分には8畳の座敷と4畳の次の間がある。設計は 桜井忍夫が創設した建築事務所を継承した府馬陽二があたった。和館が建てられた時期は、4代徳兵衛が貴族院議員として政界に進出していた時期
と重なり、多くの来賓を招いた接客場を目的として、洋館に併設された建物となっている。

旧田中家住宅文庫蔵

構造 土蔵造屋建、瓦葺、建築面積101m2
年代 明治初期
概要 文庫蔵は、洋館の北側にあり、切妻造、桟瓦葺の土蔵造平屋建て。桁行6間、梁間は5間で、内部は二重の梁構造となっている。

旧田中家住宅表門及び煉瓦塀

構造 表門  鉄製、間口2.9メートル、鉄柵付、煉瓦塀 煉瓦造、延長52.3メートル
年代 大正10年(1921年)頃
概要 表門は鉄柵の中央にある鉄門で旧田中家住宅洋館の玄関前に位置する。鉄柵の左右は 煉瓦塀で、国道に面した西側の煉瓦塀に2ヵ所、南側の煉瓦塀に1ヶ所、それぞれ通用門が設置されている。このうち、文庫蔵前に位置する西側煉瓦塀の通用門にはアーチの意匠が凝らされている。
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