川の再生~水辺再生100プラン~ 芝川・藤右衛門川等で取り組む

青木水門近くの旧芝川
青木水門近くの旧芝川

埼玉県は、「清流の復活」と「安らぎのにぎわいの創出」を目的に、川の再生に向け「水辺再生100プラン」を推進している。川口市内の市街地を流れる<芝川><藤右衛門川>を含む県内5ヵ所を水辺再生のモデル事業に位置づけ2008年度から2年間(モデル箇所以外は4年間)で変化を実感できる川の再生を目指す。2008年4月1日には緑の再生と川の再生とを相互の密接な連携のもと総合的に実施し、住みやすく環境にやさしいゆとりの田園都市埼玉を推進するために「埼玉県みどりと川の再生推進本部」を設置した。県は「川の再生」の事業資金を確保するために、2008年8月20日に県民向け市場公募債「埼玉の川・愛県債」を発行した。

川口市内の「水辺再生100プラン」実施箇所は、<芝川><藤右衛門川><辰井川>で事業を進める。テレビ朝日の「素敵な宇宙船地球号」で旧芝川再生プロジェクト~大都会ドブ川の奇跡~として取り上げられている<芝川>は、県がヘドロ除去や水質の浄化対策を実施し、清流を復活させる。あわせて低水路や遊歩道の整備も行う。<藤右衛門川>では、鉄製の矢板やはり・フェンスなどで閉鎖された河川を大幅に改築し、人々が近づけるようにせせらぎを復活される。モデル箇所以外では<辰井川>が選ばれ、冬期通水により、水辺環境を良好にする。

*芝川:川口市を南北へ貫流する荒川水系の一級河川で流路延長40.4キロメートル。竪川・藤右衛門川などの支流を持つ。水源は上尾市北東部。享保13年(1728)さいたま市東部から川口市北部に広がっていた見沼溜井の干拓後は農業排水路として利用され、見沼中悪水と呼ばれた。芝川は、江戸時代より荒川の逆流や溢水により洪水被害を起こしてきた。大正11年(1922)には芝川改修工事が着工、護岸工事・築堤が行われた。しかし、その後も水害が跡を絶たず、昭和27年(1952)に川口市上青木町、鳩ヶ谷町辻から川口市領家町までの6,450メートルに新芝川放水路が開削されることになった。昭和40年(1965)9月1日に通水式を行った。以後、上・下流端を水門によって閉じられ旧芝川は、一定量の水が確保できなくなり生活雑排水などにより河川の汚れが進むことになる。

*藤右衛門川:芝川に注ぐ藤右衛門川は、大宮台地の南端部のさいたま市南区大谷場の浦和競馬場付近に源を発し、さいたま市と川口市を流れる流路延長4.5キロメートルの一級河川。通称上谷沼と呼ばれた沼地が享保時代(1916~1735)に見沼の開発に関連してこの上谷沼も開発された。その時、並木藤右衛門という人によって中悪水路(ちゅうあく)を開削し、水を古芝川に流す工事が行われた。その人の名にちなんで藤右衛門川を名づけられた。

川口市内の「水辺再生100プラン」事業箇所

河川名 事業箇所 内容
芝川 川口市青木ほか 低水路や遊歩道を整備するとともに水質浄化対策実施
藤右衛門川 さいたま市南区円正寺~川口市柳崎 ボックスカルバート化によるせせらぎ遊歩道や浄化施設を整備
辰井川 川口市東本郷 水辺環境を良好にするための冬期通水
川口北郵便局近くの藤右衛門川
川口北郵便局近くの藤右衛門川

これまでの<芝川>での国・県等の取り組み

芝川・新芝川 清流ルネッサンス21(水環境改善緊急行動計画)
生物生息環境の確保と人と自然の豊かなふれあい活動の場の確保を目標として、地域や住民との連携・対話を進めながら水環境を改善していくための施策。芝川・新芝川では、BODが10ppm以下(フナやコイが住める水質)のきれいな水に変えていくことを目指している。また、新芝川では、BOD20ppm以下(魚は住めない、住みづらい水質)に改善し、徐々に芝川・新芝川と同じようなきれいな川を目指す。現在は、第二期水環境改善緊急行動計画(清流ルネッサンスⅡ)に基づき、流域下水の整備や浄化導水事業などを通じて、芝川・新芝川のさらなる水環境の改善を推進している。

綾瀬川・芝川等浄化導水事業
清流ルネッサンス21に基づき事業化された綾瀬川・芝川等浄化導水事業は、延長約16キロメートルの導水管によって荒川の水を綾瀬川、伝右川、毛長川、芝川の4河川に最大3m3/S(毎秒3トン)導水し、水質の改善及び水量の確保を図るものとして2001年12月試験通水を実施、2003年7月に通水式を行った。国道122号線の新荒川大橋付近で取水された荒川の水は、全国初となる地下鉄(埼玉高速鉄道)のトンネル下部(約11.7キロメートル)を河川の導水路として利用。トンネル内の新井宿駅付近では毛長川の放流口へ水を注ぎ、浦和美園駅付近からは綾瀬川方向と芝川方向へと分けられ、水質汚濁が著しい伝右川・綾瀬川・芝川の放流口へと流れ、水環境の改善を図っている。

芝川流域河川水環境改善導水事業(芝川導水事業)
川口市の市街地を流れる緑川、竪川、旧芝川は、自己水源が乏しく、生活雑排水や工場排水の流入により、水質が悪化していた。その芝川流域の都市河川の水環境改善を目的に、さいたま市緑区大字大間木の取水施設から芝川の水を六ヶ村用水を経由して、緑川、竪川、旧芝川の3河川への導水事業が進められた。2001年度から工事を始め、延長約1キロメートルにわたり、管径800ミリの管を地下に敷設した。2007年5月10日に通水を開始、0.29m3/S(毎秒0.29トン)を送水することで、水質が増加し、BOD値(生物化学的酸素要求量)、臭気等の改善が期待されている。

芝川ふるさとの川整備事業
旧芝川の全長5.8キロメートルに及ぶ芝川緑化改修事業。旧芝川を治水上の安全性を確保しつつ沿川地域と調和し、都市内空間として整備された良好な水辺空間の創出を目的とし、「身近な自然とふれあう緑の芝川」の再生を目指し、沿川各地域の特性を考慮して、ゾーンごとに特徴を持った水辺に整備するため昭和52年(1977)市の呼びかけにより「芝川緑化期成同盟会」を発足、昭和56年(1981)に都市小河川改修事業として国の補助事業に採択され事業を開始、昭和62年(1987)には建設省(現国土交通省)より「ふるさとの川モデル河川」に指定を受ける。

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